水分補給は健康維持に役立ちます。
英国科学ジャーナルに掲載された記事によると、子どもたちの60%が脱水状態で通学していることが明らかになりました。
実は、喉が渇く前に脱水症状は始まっているのです。
どのようにすれば、効果的な水分補給ができるのでしょうか。
人間生物学が専門の若きサイエンス・ライター:シドニー・スプラウス氏がわかりやすく解説します。
いのちの水 H2Oへの全く新しい感謝
私たちは生命エネルギーを養うために食事を摂ります。
しかし、私たちの身体は、エネルギーや栄養よりも、もっと大切なものを食事から必要としています。
それは、生きていくために必要な水分です。
身体が完全な能力を発揮するためには、健康的な水分補給が求められます。
そして、健康的な食事は一人一人違っているように見えるかもしれませんが、水は誰にとっても例外なく必要なものです。
あなたが適切な水分補給を実践するとき、身体は健康体となるということについては疑問の余地もありません。
必須なものであるにも関わらず、水分補給がなぜ重要なのかということについては、まだよく理解されていないかもしれません。
今回の記事をお読みいただくことで、以下の点について、ご理解が深まることでしょう。
- 身体の中で水分がどのように作用するか
- なぜ水を飲む必要があるのか
- どのように水分摂取と水分補給をすればよいか
- 脱水症状を見分ける方法
そして、H2Oへの全く新しい感謝に感じて湧いていただけたら幸いです。
身体の中でどのように水分が作用するか
水分は、消化、老廃物の除去、身体の保護など、無数の生理的プロセスを促進させます。
水分は体中いたるところに存在しているため、水分がどんな役割を果たしているか、見極めるのは容易ではありません。
しかし、健康的な水分補給がどのように身体を正常な状態に保つかについて、分類していくことは可能です。
1、消化管の入り口
口は、消化管へと続く道の、最初の入り口です。
そして、口は、水にとっても、これから始まる体内旅行における、最初の滞在地となります。
それはすべて唾液から始まります。
唾液は、唾液腺によって分泌されますが、主成分は水です。
唾液は、食べたものを細かく分解するため、食物の消化は唾液から始まります。
水は素晴らしい溶剤となります。
これはつまり、食べ物や、特定の食品に含まれる栄養素が、水に溶けやすくなって分解される、ということを意味します。
なので、ここでの消化に水分が含まれているのは当たり前のことです。
水分と一緒に食べ物を飲み込むことは、素早く効率的な消化を助けることになります。
2、胃と小腸
食べたものと混ざり合わさった後、水は胃や小腸に向かって流れ続けます。
胃や小腸は、飲んだ水のほとんどが吸収されるところです。
小腸の内表面は、絨毛または柔突起 (villi)と呼ばれる、小さな指状の突起で覆われています。
これらは小腸の表面積を増加させ、吸収力を最大化させます。
3、血液
小腸に吸収された水は、血液によって体内に行き渡ります。
なので、たくさんの水を飲むことは、健康な血液供給を維持するのに役立ちます。
4、腎臓 そして、排尿へ
しばしば、血液中に蓄積される老廃物は、取り除く必要があります。
それは、適切な水分補給の旅における次のステップ、つまり、腎臓へとつながります。
老廃物や毒素は、腎臓によって血液から濾過されます。
そして、それらの不要物は、排尿によって体外へと排出されます。
これが、なぜ、健康な水分量を維持することが非常に重要であるか、という理由です。
特に気分が優れないときは、水分を補給するようにすると良いでしょう。
5、大腸と排便
毒素を取り除くためのもう一つの方法に、正常な排便があります。
水を飲むことは、便秘の緩和にも役立ちます。
水は便を柔らかくし、大腸から便が押し出されるのを助けます。
6、皮膚と汗
口から入った水は、身体に与える恩恵の旅の、最終地点である肌に到達します。
そして、発汗によって身体の外に出ていきます。
発汗作用も水分に依存するもう一つの身体機能なのです。
汗は、水分、ミネラル、電解質、そして、身体が排出したい様々な化合物で構成されています。
健康的な水分補給は、汗を掻いて悪いものを流すことのできる体液を身体に与えます。
充分な水分補給をすることで、身体に体液が満たされ、汗を掻いて悪いものを体外へ流すことができます。
汗を掻くことは、老廃物を取り除くことに加えて、正常な体温を維持するのに役立ちます。
どのようにして、熱を帯びた身体を冷ますのでしょうか。
水分(汗)が毛穴から身体の外へと出て行くとき、肌に湿気が生まれます。
そして、その湿気が蒸発すると、すなわち液体から気体に変わると、体温が下がります。
なぜなら、液状の水分から気体の水蒸気に気化させるために、エネルギー(この場合は身体の熱)を必要とするからです。
このプロセスによって、冷たくて気持ちが良いと感じられるのです。
「水をください」なぜ健康的な水分補給を心掛ける必要があるのか
水分補給は身体の恒常性を維持する
身体が水分をどのように使うのか、ということを知ることで、水をたくさん飲むことがいかに重要であるか、わかるようになります。
すべての身体機能は水分に依存しています。
適切な水分補給は、生理学的プロセスの間におけるバランスである身体の恒常性(ホメオスタシス)を維持するのに役立ちます。
このバランスがなければ、身体は健康を維持することができません。
通学する60%の子どもたちが脱水症状
水分補給と恒常性の事例は、2013年の英国科学ジャーナル (Nutrition Bulletin / British Nutrition Foundation) の記事の中で強調されていました。
研究者たちは、通学する子供たちの60%が脱水症状になってしまった状態で学校に到着していることを発見しました。
早朝に水分が不足してしまうと、教室での学習が困難になります。
充分な水分補給が成されていないと、集中力と認知能力が低下します。
しかし、脱水によって生じるブレイン・フォグ (思考に霧が掛かったような状態)は、永続的なものではありません。
研究者たちは、学校での授業が行われている日に、コップ1杯の水を追加で飲むことで、運動神経が良くなり、視力が向上した、と結論づけました。
水分補給の利点
体内の水分を充分に満たしておくことは、身体が最高のパフォーマンスを発揮できる状態を保つことになります。
-
- 適切な水分補給は、美しさや健康的な肌をサポートします。
- 水分は、 傷の修復のプロセス、シワの減少、肌の弾力性の維持に役立ちます。
- 充分な水分を身体に取り入れることで、免疫機能と病原菌に対する抵抗力が強化されます。
健康的な水分補給は、デリケートな骨、脳、脊椎、そのほかの重要な臓器を保護するのに役立ちます。
脊髄液、関節の間にある関節液、臓器周辺の体腔は、主に水分で構成されています。
この液状成分は、クッションや保護膜として働き、衝撃によるダメージから身体を守ります。
適切な水分補給を行い、水分を保持し続けるための方法
ここまでご覧いただいた通り、水はあらゆる身体機能の一部です。
なので、適切な水分補給が非常に重要になります。
充分な量の水を飲むことで、健康をサポートし、身体を良好な状態にします。
しかし、健康的な水分補給とはどういうことなのでしょうか。
そして、それを行うには、どのようにすればよいのでしょうか。
水分を保つ最善の方法
毎日飲む水に関する推奨摂取量については、ありとあらゆるものがあります。
提示されている量は異なりますが、一貫しているものがあります。
つまり、それは、水を飲むことが水分を保つ最善の方法だということです。
ジュース、ソーダ、紅茶、コーヒーにはすべて水分が含まれていますが、水分を補給する最も効果的な方法は、普通の純粋な水を飲むことです。
なぜ、ただの水が良いのでしょうか?
もしも脱水状態にある場合、ジュースやソーダに含まれる高濃度な砂糖は胃の調子を悪くしてしまいます。
スポーツドリンクは水分補給に適しているかもしれませんが、激しい運動でたくさん汗を掻いたときにのみ、使用するようにしてください。
激しい運動を行う前にたくさんの水を飲むことや、運動の後にフルーツや低脂肪なグラノーラのようなスナックを食べることは、更に有効的かもしれません。
水分の推奨摂取量に関するすべては、簡単な目標から始めると良いでしょう。
それは、大人であれば、毎日、コップ1杯あたり約8オンス(約236ミリリットル)の水を8杯飲む必要がある、ということです。
運動する前に必ず水を飲むことは、良好な身体の状態を保ちます。
もし、水を飲むことを忘れてしまうのであれば、再利用できる水筒を常に持ち歩くのも良いでしょう。
あるいは、毎日の必要水分量を書き出しておき、飲んだ分だけ消していくのも良いかもしれません。
フルーツや野菜に含まれる水分
フルーツや野菜に含まれる自然で豊富な水分についても、忘れないようにしましょう。
リンゴ、ブドウ、メロン、キュウリ、レタス、セロリは、食物性の水分源です。
これらの自然食品は、健康的な選択肢であるだけでなく、適切な水分量を維持することにも役立ちます。
飲み物に何らかの味を付けたい場合は、コップ1杯の冷たい水にフルーツや野菜を追加して、健康的な水分補給のきっかけにしてみると良いでしょう。
水に、ベリー、ミント、キュウリを一緒に混ぜ合わせてみると、余分な砂糖を一切使わず、ちょっとパンチの効いた飲み物になります。
砂糖が多く入った飲み物は、お茶に変えるなどして、舌にはもっと身体に良い飲み物を味合わせてください。
脱水症状を防ぐために
忙しいときは、水を飲むのを忘れがちになります。
しかし、身体はいくつかの症状で脱水症状であることに気づかせてくれます。
喉の渇きが最も明らかな指標になりますが、既に遅すぎてしまうこともあります。
軽度の脱水症状は喉が渇く前から起きており、後から身体にその症状が表れます。
脱水症状のほかの兆候としては、疲労、集中力の低下、頭痛が挙げられます。
これらは些細なことかもしれませんが、身体が自分に何を伝えようとしているかに注意することが重要です。
これらの兆候が現れたら、大きめのコップにたっぷりと水を入れて、喉に流し込んでください。
そして、再度、身体全体で水分補給となるよう、その日の残りは、水を飲み続けるようにしましょう。
充分な水を飲んでるかどうかを本当に知ることができるのは、トイレで用を足したとき以外にありません。
尿の色は、水分補給の状態を強く示しています。
色の濃い尿は、もっと水を飲む必要があることをあなたに知らせてくれます。
もしも、トイレの便器に残っている尿の色が明るくて薄い色のときは、自分を褒めてあげてください。
あなたは健康的な水分補給を上手に行っています。
水であればどれも同じ?
水道水
もしも、飲料水が地方自治体から供給されているなら、あなたは塩素臭と味に気がついているかもしれません。
塩素は、公共飲料水を処理するためにモニタリングされ、安全に使用されており、細菌が供給水を汚染しないようにします。
水道水から塩素の味や塩素臭を除去したい場合は、簡単で安価な方法があります。
活性炭フィルター
活性炭フィルターは、飲料水から塩素を効果的に取り除くことができます。
これらは、家の蛇口に取り付けたり、水を濾過する浄水ポットや浄水用ウォーターボトルを使用したりすることができます。
蛇口用フィルター・ノズルを設置することも、塩素の味を減らすことに役立ちます。
ボトル・ウォーター
ボトル・ウォーターは、しばしば水道水よりも味が良いとみなされます。
ボトル入りの飲料水があなたのライフスタイルに適している場合は、リサイクル可能な容器のものを購入すると良いでしょう。
ウォーター・ボトルを再利用して古いボトルをリサイクルすることで、プラスチック製ペットボトルの無駄を減らします。
アカウンタビリティー、つまり、社会に対して責任説明能力のある姿勢で、上手に水分補給のできる市民とは、責任を持った水の購入をする人たちである、と言えるでしょう。
著者について
シドニー・スプラウス氏 (Sydney Sprouse) は、オレゴン州フォレストグローブ在住のフリーランスのサイエンス・ライターです。
彼女は、ユタ州立大学(Utah State University)の人間生物学の学士号を取得し、学部の研究者および執筆者として働いていました。
シドニー氏は、生涯に渡って科学の学習者であり、現代の科学研究をできる限り効果的に解説することを目標としています。
彼女は、人間生物学、健康学、栄養学に関心を持って執筆しています。
“Water as an essential nutrient: the physiological basis of hydration.” Nature.com
“Improving hydration in children: A sensible guide.” Nutrition Bulletin online.
“The Health Benefits of Water.” EverydayHealth.com.
“Staying Hydrated—Staying Healthy.” American Heart Association Online.
“How Fast Is Water Digested?” Livestrong.com.
“57 Ways to Protect Your Home Environment (And Yourself).” (No. 40.) This Land (Illinois.edu).
“Unusual Properties of Water.” LibreTexts, Chemistry.
本記事は、Ask The Scientists に寄稿された文章を『真の健康100万人プロジェクト® 編集部』によって翻訳され、日本の読者向けに加筆・編集したものです。本ページの著作権は『真の健康100万人プロジェクト®』に帰属します。本ページの無断複製転用等を禁じます。
翻訳・編集:矢口詩穗里
翻訳監修:藤田幸三
編集協力:大塚慎吾 髙橋彩 勝山未知教 安藤あきとし
参考記事:”HEALTHY HYDRATION – HOW YOUR BODY USES WATER“
米国本社のUSANA Health Sciences. Inc. が米国で提供している栄養製品 と、日本のユサナ・ヘルス・サイエンス・ジャパン合同会社が提供している栄養製品では、配合成分が異なります。その主な理由は、各国間によって薬事法や医薬品基準等が異なるためです。
日本国内で販売している栄養製品も、米国本社が販売している製品と同様に、米国の医薬品GMP基準を順守し、且つ、米国食品医薬品局(FDA: Food and Drug Administration)に「医薬品製造施設」として認定された米国本社の自社工場で製品を生産しています。
本記事は、米国本社の情報を翻訳しつつ、日本の読者の皆様に向けて加筆・編集しています。尚、本記事の掲載内容については、ユサナ・ヘルス・サイエンス・ジャパン合同会社 (USANA Health Sciences Japan LLC )に確認をいただいております。
*本品は、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。
執筆者・編集人:『真の健康100万人プロジェクト® 』編集部
『真の健康100万人プロジェクト®』とは、健康情報を共有し、『真の健康』にあふれる人々を日本中に増やすプロジェクトです。
医師、歯科医師、アスリートなど、健康の専門家とパートナーシップを組み、活動しています。
© Copyright 2018 『真の健康100万人プロジェクト®』 All Rights Reserved.
ユサナ許可番号:ADV-681
ユサナ社の製品および人物等については、ユサナ社の所有物であり、ユサナ社より承認を得て掲載しています