食物脂肪

食物脂肪とは何か?

食物脂肪に関する事実を理解しましょう。

脂肪は「悪」だとされています。それは最も誤解されたマクロ栄養素かもしれません。「脂肪」という言葉は、残念ながら不健康な食事と過剰な体重に関連付けられています。しかし、体が機能するためには、食物脂肪を必要とします。

詳しい説明はこの後しますが、まずは脂肪が体内で果たす重要な役割の、ほんの一部を次に紹介します。

• 脂肪は食事からビタミンやミネラルを吸収するために必要です。
• 脂肪はエネルギーで満たされています。
• 脂肪は健康な細胞を構築し、維持させるために必要です。
• 脂肪は神経機能に重要な役割を担っています。

このマクロ栄養素が体内でどのように働くかを学ぶことで、食中脂肪についての認識が変わるかもしれません。この重要なマクロ栄養素に関する3つの最大の誤解を払拭し、脂肪の機能、役割、および体重への影響について、新しい発見をしてみましょう。

 

 

誤解その1 – 脂肪は健康に悪い

 

実際はその逆。脂肪は健康のために重要です。

脂肪の別名は「脂質」です。そして、それらは細胞膜の基礎となります。この重要なコーティングがなければ、わたしたちの細胞は機能しません。脂肪はまた、神経を覆う膜を形成する責任があります。脂質を、脳からの信号を体中の領域に運ぶワイヤーの絶縁材だと考えてください。脂質はまた、わたしたちの肌のバリアとなる重要な部分を構成します。

既にご存知の通り、脂肪は非常にカロリー密度が高いです。それは炭水化物やタンパク質よりも、グラムあたりのエネルギーの2倍以上を提供することができます。食物脂肪のいくつかの形態は、アクセスしやすい部位にエネルギーとして保存されます。このエネルギー生産は、強力で強靭な筋肉のために不可欠です。

脂肪は細胞や筋肉の健康に必要であるだけでなく、わたしたちの栄養自体がそれに依存しています。脂肪は、ビタミンA、D、E、Kを最大限に活用するために必要とされます。そういうわけで、それらは「脂溶性」と呼ばれています。体がこれらの必須ビタミンを吸収するために、 脂肪分子は、それらが血流に乗って移動する手伝いをします。これらの脂肪輸送は、必須栄養素である脂溶性ビタミンが、彼らの仕事のほとんどを行う、脳と中枢神経系に到達するのを可能にします。

体が必要とする他のビタミンやミネラルは、「水溶性」です。これは、彼らが消費された後(食品またはサプリメントを介して)ビタミンやミネラルが水に溶解し、血流で体全体に運ばれることを意味します。ビタミンBとCがこれに当てはまります。

 

 

誤解その2 – どの脂肪も同じ

 

食物脂肪は、どれも同じではありません。微妙な違いがあるのです。それらは、不飽和、飽和、またはトランス、 3 つのカテゴリーのいずれかに分類されます。カテゴリーは、脂肪の化学構造、特に脂肪分子中の水素の配置によって決定されます。

脂肪は「炭化水素」と呼ばれる、炭素と水素の長い鎖で作られています。炭化水素鎖に沿った各水素原子の位置は、脂肪分子の挙動に影響を与えます。ちなみに、水素原子が炭素結合の同じ側に存在するものを「シス水素」と呼びます。水素が二重結合の反対側にある場合、それらは「トランス水素」と呼ばれ、以下に述べるように、とても重要になります。

不飽和脂肪

これらの食物脂肪はしばしば「健康的な脂肪」と呼ばれます。それらは主に植物から作られます。(オリーブ・オイル、ヒマワリ油、キャノーラ・オイル等)アボカド、アーモンド、クルミおよび魚に含まれる脂肪も不飽和です。不飽和脂肪には、「一価不飽和」と「多価不飽和」の2種類があります。

一価不飽和脂肪の化学構造は、1つの炭素二重結合を有しています。多価不飽和脂肪は、これらの二重結合をいくつかを持っています。不飽和脂肪の二重結合は、脂肪分子が互いに付着することを困難にします。これにより、一価および多価不飽和脂肪は、常温で液体化されます。

不飽和脂肪は健康的とされ、わたしたちの体内で有益に働きます。一価と多価不飽和脂肪の両方は、既に正常範囲内にある、健康的なコレステロール値の維持に役立っています。「善玉」のHDLコレステロールの量を増やすことによって、これを行っています。不飽和脂肪はまた、既に正常な範囲内にある場合、重要なホルモンであるインスリンの機能をサポートすることによって、健康的な血糖値の維持にも役立っています。

一価不飽和脂肪は、多くの人々が欠乏している必須栄養素、ビタミンEの吸収を助けます。ビタミンEは強力な抗酸化物質であり、フリーラジカルの損傷からわたしたちの体を保護することができます。

魚油もまた、わたしたちの健康をサポートする多価不飽和脂肪です。おそらく2つの最も有名な魚油の脂肪は、既にお馴染みでしょう。魚油には、細胞構造を維持し、サポートするのに役立つ、「オメガ3脂肪酸」と「オメガ6脂肪酸」が多く含まれています。わたしたちの体は、オメガ3やオメガ6を作ることができないので、食事からそれらを摂取する必要があります。それは絶対不可欠であると考える者もいます。

飽和脂肪

飽和脂肪は、文字通り水素原子で飽和した状態です。炭化水素鎖内のすべての炭素原子は、水素原子に結合されます。これは、脂肪分子に炭素二重結合がないことを意味します。

飽和脂肪は長く真っ直ぐで、鎖にはよじれや凹みはありません。この構造は炭化水素鎖を非常に粘着性にし、他の鎖と容易に結合することを可能にします。飽和脂肪が室温で固体である理由はここにあります。それらは互いが容易にくっつき、積み重なって組織を構築することで、密度の高い固体脂肪となるのです。

飽和脂肪の摂取量には注意が必要です。それらの過剰摂取は、有害となることがあります。飽和脂肪は、血液中の「善玉コレステロール」(HDL)を減らし、「悪玉コレステロール」(LDL)の量を増やしてしまいます。

それらはまた、体内のホルモンの有効度合いに影響を与えます。ホルモン・インスリンが大量の飽和脂肪によって、マイナスの影響を受ける可能性を示唆する証拠が増え続けています。このホルモンの機能を阻害することによって, 血糖値を管理するのが難しくなる可能性があるのです。

しかし、食事から飽和脂肪を完全に排除すれば、いくつかの問題を抱えることにもなります。飽和脂肪は、乳製品におけるより健康的な不飽和脂肪と赤身の肉との組み合わせの中に見いだせます。飽和脂肪が食事から排除されると、高糖度の食品に置き換えられる傾向があります。これらの食品は、血中コレステロール値に同等のダメージを与えます。

飽和脂肪の摂取量を制限することは、全体的な食物脂肪を管理するのに適した方法です。もしあなたが飽和脂肪の量を減らすダイエットをしている場合、より健康的な不飽和脂肪の食事に置き換えてみてはいかがでしょうか。

トランス脂肪

 

悪名高いトランス脂肪は、体にとって最悪で、かつ私たちの周りに溢れています。スナック菓子、ドーナツ、ケーキ、クッキーなどの焼き菓子、マーガリン、そして多くのファーストフードには、トランス脂肪が含まれています。牛肉のような一部の自然食品には、少量の天然トランス脂肪が含まれています。これらの脂肪は、各脂肪分子の炭素鎖間で作られる化学結合からその名前がつけられました。

名前が語る通り、トランス脂肪は、その化学構造に多くのトランス水素を持っています。これは、炭素鎖上の水素が、分子の反対側に位置していることを意味します。それは常に自然にこのような構造になっている訳ではありません。

ほとんどのトランス脂肪は、「水素化」と呼ばれるプロセスを経て形成されます。水素化の過程で、健康的な植物油は、水素の存在のもとで加熱されます。これは、水素が強制的にトランス状態の炭素鎖に付着することを意味します。この化学反応によって、健康的だった植物油は、見た目も、味も、そしてその行いも飽和脂肪になってしまうのです。水素化は加工食品の寿命を延ばすので、トランス脂肪は容易に排除できないのです。

この化学反応は体にとってどんな影響を与えるのでしょうか?その多くは否定的なものばかりです。トランス脂肪は、「悪玉」LDLコレステロールの増加に関連します。また、これらの脂肪は、心血管系が非効率的に働くよう影響を与えます。そして、糖を正しく処理する体の能力を低下させると考えられています。

残念ながら、トランス脂肪は非常に使いやすく、現代の食品として好まれるものの多くに使われています。レトルト食品の普及と調理の利便性が、トランス脂肪の回避を困難なものにしています。

これらの悪い脂肪を避けるために、植物油、ナッツ、種子による、より健康的な脂肪を摂るよう心がけてください。不飽和脂肪への代替で、焼き菓子のトランス脂肪を置き換えましょう。そして、ドーナツやインスタント食品からの誘惑は無視しましょう。

 

 

誤解その3 – 脂肪の高い食品は、体重増加につながる

 

体重増加と体形の変化を気にして、脂肪分をカットするのは間違いです。本来は、食物脂肪の消費量はバランスを保つべきなのです。実際、健康的な脂肪の摂取は、炭水化物やタンパク質よりも体重増加にはつながりません。

単一のマクロ栄養素は、他のものよりも体重に影響を与えるものではありません。いくつかの栄養素は、グラムあたりのエネルギーをより多く提供するだけです。日中に体が必要とするカロリーよりも多くのカロリーを摂取すると、その過剰なカロリーが脂肪、炭水化物、タンパク質からであろうと、体重増加につながります。

健康的な食生活に脂肪分を含める必要がある理由を知るためには、食事から脂肪がどのように利用されるのかを理解することが重要です。脂肪は1グラムあたり、9カロリーのエネルギーを体に提供し、炭水化物やタンパク質はそれぞれ1グラムあたり4カロリーを供給します。脂肪はタンパク質と炭水化物に比べ、2倍以上のカロリーなので、適度に消費する必要がありますが、完全に無くすことはお薦めしません。。健康的な脂肪はまた、満腹感の持続を助けます。

有益となる脂肪の正しい量を食べることは、誰にでも可能です。と同時に、それは人によって違いがあります。 一般的な健康な成人では、どの程度の量なのか、確認してみましょう。

現在の推奨量は、毎日のカロリーの20~30%を、脂肪から摂ることを勧めています。体にとってベストな脂肪は、不飽和脂肪(一価および多価不飽和)です。1日に食べる脂肪の90%を不飽和脂肪にしてみてください。飽和脂肪は、毎日の脂肪消費量の 10% 未満に制限することをお勧めします。可能な限りトランス脂肪を避けてください。

 

 

食物脂肪の種類を知る

 

飽和脂肪、不飽和脂肪、トランス脂肪の識別は困難な場合があります。栄養表示がない場合、この判別は不可能に思えるかもしれません。ここでは、食事による脂肪の種類を見分けるための、いくつかのヒントを紹介します。

  1. 不飽和脂肪は、通常、室温で液体です。一価不飽和脂肪と多価不飽和脂肪は、通常、油、特に植物由来のものになります。植物油、アボカド、ナッツ、種子、魚は不飽和脂肪の良い供給源です。これらの食品はまた、心臓の健康と血管機能を促進するオメガ3脂肪酸の優れた供給源でもあります。
  2. 飽和脂肪は室温で固体です。バター、ラード、ショートニングがその良い例です。赤身の肉は、魚や鶏肉のような脂肪分の少ない肉と比較すると飽和脂肪が高いです。牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの全脂肪乳製品にも飽和脂肪が含まれています。
  3. トランス脂肪は、それが主に人工製品であるため、見分けるのは困難です。さらに、自然な飽和脂肪とも区別がつきにくいです。トランス脂肪は、アメリカ国内において原材料ラベルに「一部水素化」として表示されています。それは、レトルト食品や加工食品に、構成、食感、風味を加えます。揚げ物や焼き菓子は、トランス脂肪含有の高い材料で調理されることがよくあります。ファーストフード、ドーナツ、およびその他インスタント食品は、主な食事からのトランス脂肪源です。

ダイエット中に、脂肪に出会っても、震え上がらないでください。代わりに, 健康的な脂肪を優先し、炭水化物やタンパク質とのバランスをとって摂取してください。食物脂肪は健康に欠かせないものであり、資源として評価されるべきものです。あなた自身の健康を促進するため, 食事で有益となる脂肪の推奨量を摂り入れてください。

 

原文記事:https://askthescientists.com/qa/fat/

翻訳:藤田幸三

ユサナ許可番号:ADV-681
ユサナ社の製品および人物等については、ユサナ社の所有物であり、ユサナ社より承認を得て掲載しています

Supervisorこの記事の監修者
医師(泌尿器科・内科) 首藤直樹
医師(泌尿器科・内科) 首藤直樹
医学博士
五反田泌尿器科内科すどうクリニック院長

昭和大学医学部卒業後、NTT東日本関東病院泌尿器科医長などを経て、五反田泌尿器科内科すどうクリニックを開院

患者さんとの対話を大切に、身体・心の健康の支えとなることを心がけている

一人ひとりに丁寧に接することをモットーにしており、温かい人柄は、大きな信頼を得ている

 

米国本社のUSANA Health Sciences Inc. が米国で提供している栄養製品と、日本のユサナ・ヘルス・サイエンス・ジャパン合同会社が提供している栄養製品では、配合成分が異なります。その主な理由は、各国間によって薬事法や医薬品基準等が異なるためです。

日本国内で販売している栄養製品も、米国本社が販売している製品と同様に、米国の医薬品GMP基準を順守し、且つ、米国食品医薬品局(FDA: Food and Drug Administration)に「医薬品製造施設」として認定された米国本社の自社工場で製品を生産しています。

本記事は、米国本社の情報を翻訳しつつ、日本の読者の皆様に向けて加筆・編集しています。尚、本記事の掲載内容については、ユサナ・ヘルス・サイエンス・ジャパン合同会社に確認をいただいております。