不妊原因

『不妊』は病気なの?不妊の原因をしっかり確かめよう

はじめまして。

助産師の淺乃かず代と申します。

私は、これまで4000件以上の『お産』に携わってきました。

仕事柄、
不妊治療を経て妊娠された方、
自然妊娠の方、
たくさんの方々とお話する中で、

「不妊治療を受けるカップルが圧倒的に最近増えているなぁ」

と肌で感じます。

 

不妊に悩む皆さまへ。

不妊は病気ではありません。

不妊の原因をしっかり確かめて、最短で妊娠成立を目指しましょう。

不妊とは

不妊原因


不妊とは、何でしょうか?

ひと昔前まで、不妊の定義は、
正常な夫婦生活があって2年以内に妊娠しないことを意味しました。

しかし今は、
期間の定義は1年となっています。

日本産婦人科学会の不妊定義とは

不妊原因

日本産科婦人科学会は、
不妊を以下のように定義しています。

 

生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間、避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合を不妊という。

その一定期間については、1年というのが一般的である。

なお、妊娠のために医学的介入が必要な場合は期間を問わない。

日本産科婦人科学会より引用

 

・継続的な性交

排卵日だけの月に1度の性交ではなく、月に数回、もしくは、週に数回を意味します。

・妊娠のために医学的介入が必要な場合は期間を問わない

医学的介入が必要な場合とは、最初から妊娠の障害となる疾患を持っていたり、過去に妊娠しにくくなるような既往歴があったりすることです。

不妊治療を経て妊娠されるカップルは、5.5組に1組

不妊原因

以前は、『10組に1組』のカップルが不妊治療を受けていると言われていましたが、
現在は、5.5組に1組』と言われています。

不妊治療の現状については、以下のように記されています。

 

日本では、実際に不妊の検査や治療を受けたことがある(または現在受けている)夫婦は、全体で18.2%、子どものいない夫婦では28.2%です。

これは、夫婦全体の5.5組に1組に当たります。

国立社会保障・人口問題研究所
「2015年社会保障・人口問題基本調査」引用

 

2015年に日本では51,001人が生殖補助医療(体外受精、顕微授精、凍結胚(卵)を用いた治療)により誕生しており、全出生児(1,008,000人)の5.1%で、これは、約20人に1人に当たります。

(生殖補助医療による出生児数)
日本産科婦人科学会
「ARTデータブック(2015年)」引用

(全出生児数)
厚生労働省
「平成27年(2015年)人口動態統計の年間推計」引用

 

不妊治療は妊活のひとつです。

不妊は病気ではありません。

不妊治療とは、
不妊症の方が妊娠を目的に治療することを意味します。

妊活とは、
妊娠するための活動ですので、
不妊治療は『妊活のひとつ』
に含まれます。

不妊の原因は何か?

不妊の原因は何でしょう?

ご存知の方も多いと思いますが、
決して『女性にのみある』のではありません。

1998年、WHO(世界保健機関)が
『不妊の原因かは男女どちらにあるのか』
を調査し、

女性のみに原因があるケース:約41%
男性のみに原因が合はケース:約24%
男女両方に原因があるケース:約24%
原因不明:約11%

と発表しました。

女性だけが、一生懸命妊活をして、妊娠成立を目指しても、
不妊の原因が男性側にある場合、
妊娠が成立しないだけでなく、無駄な時間を過ごすことにもなってしまいます。

ぜひ、
「ご夫婦で一緒に取り組んで欲しい」
と、切に願います。

不妊原因

 

卵子と精子の老化

不妊の原因は、卵子と精子の老化です。

卵子と精子の老化とは、
加齢に伴う『質の低下』です。

なぜ、
年齢を重ねると『質の低下』が起こるのでしょうか?

実は、活性酸素による酸化ストレスが大きく影響します。

不妊原因


卵子は再生されない細胞です。

あなたが産まれた時から、あなたの卵巣に存在しています。

あなたとあなたの卵子は同じ年齢です。

つまり、
年齢に伴い身体が老化するのと同じように、卵巣の卵子も老化するということです。

卵子は、
産まれたその時からずっと、
活性酸素による酸化ストレスを受け続けています。

そして、
この活性酸素による酸化ストレスは、
不規則な生活習慣でも増強します。


精子の『質の低下』
ついては、
以下に記載の

・『精子の話〜精子の質の低下とは〜』
・男性不妊因子

をご覧ください。


加齢に伴う卵子と精子の『質の低下』は、
生活習慣(食事や生活リズムなど)を見直し、妊娠しやすい身体に整えることが大切です。

 

●卵子の話
〜愛しい卵子たちが毎日消えていく〜

不妊原因


皆さんは、毎月、いくつ卵子が排卵されるかご存知ですか?

そうです。
1つです。

女性は、170万個の卵子を卵巣の中に持って産まれてきます。

思春期で30万個までに減り、
生理が始まると、毎月1000個の卵子が消滅しています。

つまり、
計算上、毎日30〜40個の卵子が消失しているのです。

排卵される選ばれし卵子1つのために、
日々消えていく卵子たちの事を思うと、少し切なくなりませんか?

愛しき卵子が消えゆく瞬間まで、あなたができること。

・毎朝、朝陽を浴びる
・ぐっすり寝る
・栄養のあるもの食べる
・美味しいお水を飲む
・きれいな空気を身体中に巡らせる


ぜひ、
ありがとうの気持ちで、
卵子たちを愛で満たしてあげてください。


●精子の話
〜精子の質の低下とは〜

 

老化して弱った精子


現在、
不妊の40~50%は男性側にも原因があると言われています。

男性不妊の原因のうち、
約80%
精子が正常に作ることができない造精機能障害によるもので、
精巣の中で運動性が良好な精子をつくる機能が低下していると考えられています。

不妊の三大原因とは

不妊三大原因


不妊の要因となる疾患の増加は深刻です。


一般社団法人日本生殖医学会は、
不妊の三大原因(因子)について、

①排卵因子
②卵管因子
③男性不妊因子

と発表しています。

ほか、
不妊の原因は、
多くの原因が重複していたり、
検査をしたとしても明らかな原因が見つからない『原因不明のもの』もあります。

排卵因子

排卵因子の代表例は、以下の通りです。

・排卵障害
・卵巣機能低下
・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
・黄体機能不全
・高プロラクチン血症
・中枢性の排卵障害


排卵因子
についての詳細は、
一番下に関連記事を紹介しております。

卵管因子

卵管因子の代表例は、以下の通りです。

・卵管狭窄
・卵管閉塞
・クラミジア感染症
・子宮内膜症


卵管因子についての詳細は、
一番下に関連記事を紹介しております。

男性不妊因子

 

不妊

 

実は、男性不妊の半数以上は原因不明と言われています。

しかし、最近では、

・喫煙
・加齢
・アルコール摂取
・心理的ストレス

などが、男性不妊のリスク因子として関わっていることが明らかになってきました。

ほかにも、

・肥満
・高温環境
・スマートフォンなどの電磁波

なども、精子の質を低下させる要因として報告されています。

上記のことから、
食生活を含めた生活習慣の改善は、
男性不妊を考える上でとても重要である
と言われています。

 

医師より一言

実は、
不妊の要因となる疾患が20代から発症しているという例もあります。

あわせて、
不妊の原因となる疾患の増加も心配です。

妊娠成立までの過程において、
機能的に支障や障害がある場合、
それを最優先に治療・改善することが大切です。

原因や症状を明確にし、治療・改善することができれば、妊娠成立の確率は飛躍的に上がります。

日本の場合、
妊娠は結婚後と考える傾向が強いので、
晩婚化が晩産化に繋がっています。

月経不順無月経等、
排卵障害が疑われる場合は、
排卵誘発剤等による治療が必要となることもあります。

また、
子宮内膜症子宮筋腫については、年齢と共に進行します。

30代後半から40代の方は、
早いうちから不妊の検査・治療を受けることを提案しています。

事前の検査も可能ですので、
まずはぜひ、病院受診で明確にすることをお勧めします。

不妊治療を辛いものとしないために

不妊治療の現実

妊娠しにくい要因は、
卵子や精子の老化以外にも、

・食習慣
・生活習慣
・生活リズム
・環境
・ストレス

など多岐に渡ります。

しかし、
不妊という言葉が独り歩きしてしまい、
不妊に関する認識に偏りがあるように感じます。

つまり、

不妊を、
妊娠しづらい状態=治療が必要な状態

と捉えている方が多く、
治療を受ければ、すぐに妊娠できるという誤った認識を招いている現実があります。

不妊原因


不妊治療には、

・時間
・お金
・労力

がかかります。

1回に十万円単位の費用がかかることもあります。

現在、
不妊治療を受けていらっしゃる方のうち、
4分の1は40歳以上の方々です。

どの方も、本当にお金と時間の限界まで頑張っていらっしゃいます。

時間とお金をかければかける程、
『妊娠できる』と期待が大きくなり、
妊娠しなかった時のショックも大きくなります。

私たちは、不妊治療をどのように捉えたらよいのでしょうか?

不妊治療だけに頼らない身体づくりを目指そう

不妊原因


不妊治療だけに依存しないことです。

もちろん、
年齢が高くなる程、治療が必要になったり、その可能性が高くなってきます。

しかし、治療を受けるにも、
ご自身の妊娠力が低下した状態で不妊治療を受けるのと、
妊娠しづらい状態を改善してから治療するのとでは、
結果は大きく変わります。

畑と種を想像してみてください。

いくら良い種を蒔いても、畑が耕されておらず、荒地で、やせた土地ならば、芽は出ません。

逆に、肥料が行き渡り良く耕された畑でも、種に発芽する力、根を張る力がなければ、芽は出ません。

良い種と耕された良い畑があって、初めて大きな収穫を迎えることができるのです。

ここで表現している『畑』とは、もうお分かりですね。

『畑』とは、
子宮はもちろん、
身体全体の状態を表しています。

正しい妊活を一緒に実践しませんか?

 不妊原因

 

妊活とは、『畑を耕す』ということです。


あなたは、

正しい耕し方をしていますか?

適量の肥料は行き渡っていますか?

種を蒔いて芽が出る条件をご存知ですか?

その条件を揃えていますか?


これらを知り、
大切な大切なタネが芽を出し、
大きく育つように、
畑を耕してみませんか?

畑を耕すのはあなたです。

これから、一緒に正しい妊活について学んでいきましょう!

 

今後、

『絶対に知っておこう!正しい妊活』として、

・妊活に必要な栄養素
・妊娠力アップの食材
・妊活に必要なタンパク質について
・妊活に必要な抗酸化作用について

・妊活に必要な油について
・水や飲み物について
・デトックスについて
・食事について

など、様々な記事をアップ予定です。


更に、

『知らないと怖い!?妊活シリーズ』として、

・食品添加物について
・砂糖中毒について
・ダイエットについて


また、生活習慣を改善する方法など、随時情報を発信させていただきます。

一緒に、最短で妊娠成立を目指しましょう!

 

最後に、関連記事を紹介します。

●排卵因子について●

不妊の主な原因:排卵因子について

●卵管因子について●

不妊の主な原因:卵管因子について

Writerこの記事の執筆者
助産師 淺乃 かず代

妊勝朝食考案者&ミトコンドリアキッチンレシピ提供

長女の妊娠をきっかけに”心の胎教”に興味を持つ

ソニー創業者、井深大氏が創立した幼児開発協会で、その理念を深く学び、これから未来を担う子どもたちの為、子どもを産む女性の意識改革、真の健康と幸せへの気づきをサポートしたいと心に決める

出産後、その後の人生を捧ぐ覚悟で、専業主婦から看護学校へ入学、念願の助産師になる

その後、助産師として臨床経験を積み、4000件以上のお産をお手伝いさせて頂く

一人の女性が幸せな母親になるまでに、様々なクライシスを乗り越えていかなくてはならない現状を目の当たりにし、2019年、現役助産師である傍ら、『 妊活から始めよう! 幸せいっぱいのママになるための学校 』〜母親一貫教育の場〜Maman’s college 開校を目指す

Editorこの記事の編集者
サプリメントアドバイザー 髙橋彩
サプリメントアドバイザー 髙橋彩

サプリメントアドバイザーID:supad5409

慶應義塾大学文学部卒業

大手都市銀行で営業職を担当
『497日連続で契約を取りまくった私の営業ルール』著者

出版を機に、各地金融機関にて研修講師を務める

また、サプリメントアドバイザーの立場から、クリニックや調剤薬局、スポーツジムにて栄養提案、他、法人向け福利厚生サービス『オフィスサプリ®』を展開

Supervisorこの記事の監修者
医師(泌尿器科・内科) 首藤直樹
医師(泌尿器科・内科) 首藤直樹
医学博士
五反田泌尿器科内科すどうクリニック院長

昭和大学医学部卒業後、NTT東日本関東病院泌尿器科医長などを経て、五反田泌尿器科内科すどうクリニックを開院

患者さんとの対話を大切に、身体・心の健康の支えとなることを心がけている

一人ひとりに丁寧に接することをモットーにしており、温かい人柄は、大きな信頼を得ている