不妊の要因は、
多くの原因が重複していたり、
検査をしても明らかな原因が見つからない「原因不明のもの」もあります。
一般社団法人日本生殖医学会は、
不妊の三大原因(因子)について、
①排卵因子
②卵管因子
③男性不妊因子
と発表しています。
今回は、卵管因子について紹介します。
卵管とは
卵管は子宮の左右両側にあり、
直径は細いところで1mm未満しかありません。
ガラス細工のようにデリケートで、非常に繊細な働きを担っています。
卵巣から排卵された卵子は、
卵管采(らんかんさい)でキャッチアップされ、卵管に取り込まれます。
卵管膨大部で巡りあった卵子と精子は、
受精卵となると子宮へ戻ります。
卵管狭窄・卵管閉塞とは
卵管狭窄とは
卵管狭窄とは、卵管内の幅が狭くなることを意味します。
実は、3割の女性に卵管狭窄があると言われています。
卵管閉塞とは
卵管閉塞とは、卵管がつまることを意味します。
卵管狭窄や卵管閉塞のほか、
卵管が癒着したり、炎症していると、
卵子が待つ位置まで精子がたどり着くことができません。
また、
たとえ受精できたとしても、
その受精卵が子宮へと移動することができません。
このような症状は、
「治療しない限り自然妊娠を望むことが難しい」とも言われています。
卵管におけるトラブルを、『卵管障害』と呼びます。
卵管障害を引き起こす原因の代表例は、
・クラミジア感染症
・子宮内膜症
です。
クラミジア感染症とは
クラミジア感染症は、
子宮頸管に感染し、炎症を起こします。
その後、
子宮内へ移動し卵管へたどり着きます。
クラミジアにかかると、
・子宮頸管炎
・子宮内膜炎
・卵管炎
などを発症し、
更に卵管を通り過ぎると、
・腹膜炎
を起こすこともあります。
クラミジア感染症について
クラミジア感染症は、
おりものや腹痛、出血など、具体的な症状が出ることもあれば、
初期だと自覚症状がほとんどないため、慢性化して炎症が広がり、体に問題が発生したときに初めて病院で検査してわかる、ということも多いです。
性感染症の1つなので、
夫婦間でピンポン感染(再感染)を防ぐため、ふたりで受診し、治療を行ないましょう。
子宮内膜症とは
子宮内膜症とは、
子宮の内側にある子宮内膜組織が、その他の臓器(卵巣や卵管、腹腔内、直腸の表面など)に発生し、増殖する病気です。
全身への影響は不明な点が多いのですが、
免疫学的障害によって卵子成熟のある段階に影響が出ることが確認されています。
月経期になると、子宮内膜は剥がれ落ち、体外へ排出されます。
しかし、
他の臓器に発生した場合は、
排出される場所がないため、出血した血液がその臓器内部に溜まってしまいます。
毎月出血が繰り返されることで、
その部分が炎症をおこしたり、
他の臓器や組織と癒着したり、
さまざまな症状を引き起こしてしまいます。
卵管に発生した場合は、卵管癒着を起こし『卵管障害』につながります。
また、
子宮の筋層に発生すると子宮腺筋症(しきゅうせんきんしょう)になり、
それが原因で『着床障害』になる恐れもあります。
卵巣内で内膜組織が増殖すると血液が溜まり、卵巣が大きく腫れてしまいます。
チョコレート嚢胞(のうほう)と呼ばれ、そこから排卵障害になる人も少なくありません。
このように、
子宮内膜症は場所によって不妊の原因につながる恐れがあります。
不妊の要因となる疾患が20代から発症する事例も増えています。
ぜひ、早めの婦人科検診や病院受診をお勧めします。
以上、卵管因子として、
・卵管狭窄、卵管閉塞
・クラミジア感染症
・子宮内膜症
について紹介させていただきました。
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